Chambre

«Boids again»
(2020) for String Quartet - No.3 in the cycle "Brains" -

for 10th Osaka International Chamber Music Competition & Festa
Duration: 6 minutes
Edition: Breitkopf & Härtel

The first performance was scheduled on May 17, 2020, during the competition

→Due to the competition postponed (2020) and finally cancelled (2021), the piece was given its premiere on February 12, 2022 by QUARTET EXCELSIOR at The Phoenix Hall in Osaka

《Boids》(2018) と《Boids again》(2020)について

 
[2022年2月12日ザ・フェニックスホール クァルテット・エクセルシオ演奏会プログラムより転載]

近年、私は脳の機能やそのしくみに強く触発されて作曲しています。

《Boids》(2018)と《Boids again》(2020) は、2017年作曲の《Brains》に続く、弦楽四重奏のための連作「Brains cycle」の第2・第3作として作曲しました。

2作とも、作曲当時、ローマで遭遇したムクドリの大群が一体となって自在に変化する形状美に圧倒され、しばし目を奪われたことをきっかけに、あの形状変化を生み出す原理を援用しています。
鳥だけでなく、水族館などで見る、魚の群れが生み出す形状変化も同様に驚異的ですが、いずれもそれぞれの個体の動きを司る、

1)ぶつからないように距離をとる
2)速度と方向を合わせる
3)群れの中心方向へ向かうように方向を変える

というシンプルな3原則によって生み出されているそうです。
いわば、規則と個々の自由なふるまいとのバランスの成果である群れの動きの美は、弦楽四重奏のありかたにも共通するのではないかと思い、アメリカのクロノス・カルテットからの「若い演奏家が現代音楽の特別な奏法や書法を学ぶためのレパートリーを」との依頼に、《Boids》(鳥もどき Bird-oid からとられた名称)と名付けた小練習曲を作曲しました。「鳥もどき」とはいってもここではむしろ魚をイメージしており、リーダー格の個体の動きを模倣しつつ生まれる個体差や、一群の泳ぐ水中に投げ込まれる石(チェロのピッツィカート)によってちりぢりに乱れる群れが、すぐにまた形成されるという状況をイメージしています。

第10回大阪室内楽コンクールのために作曲した《Boids again》はその続編で、こちらは鳥の群れの動きの中の、模倣と個体間の差異という面に、より意識を向けています。

各曲は単独でも、続けて演奏してもよいように設計されていますが、本日は2曲を続けてお聴きください。

望月 京